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幼少の頃。
私は手を抑える。 紅く腫れた線の走る手。
机の上から散らされた上質紙の束、 転がるインク壷。
床に広がっていく 黒い沁みを、どこか他人事のように眺めていた。

耳元にわんわんと響くのは、尖り顎の家庭教師の声だ。
彼女の中では、紙束が崩れたのも、壷が倒れたのも、全部私のせい。

『 まったく。 これで由緒ある大家の娘だというのだから。
  姉君や兄君に、才能を全て取られたのではなくて?  』

父が大金を積んで招いた先生様は、また何かを言うらしい。
私は泣きもしない、笑いもしない、苦しそうにもしない。

全て面倒で、全て空虚、ドウデモイイ。
算数が出来ないのも、父上を失望させるのも、ドウデモイイ。

その日も、怒る教師の声が、余りにも面倒で。
窓から部屋を出て行く。
スカァトが引っかかって、少し破れた。

―― 母上が、悲しむかな。    どこかで思って。
屋敷の庭へと駆けていく。

何もかもドウデモイイ はずだった。
どんっ。

ぶつかる音。 同じ大きさのモノがぶつかる音。

『 ―― っ 』 

女の子。 多分、私と同い歳ぐらい。 初めて見る顔。

謝ろうと唇は動こうとして、止まる。

どうせ同じ。 何を言っても伝わらない。 聞いてもくれない。

そうならば ―― 謝る意味なんて 何処にも無い。

私はどうしようもなく 子供で。 どうしようもなく 幼稚で。

その侭、走って逃げる。 森の方、森の方へ。

背中に ―― 女の子が何かを言っていたけど 聞こえもしなかった。


走って、走る。 太陽を葉が遮り、 薄暗く。
何年、何十年と積み重なった 落ち葉の香りが、満ちる。
とても、とても、静か。 落ち着く。

どうせ、誰も探しに来ない。 夜になったら 黙って帰ってくる…
そう思われてる。 実際どうだけど、そうだけど。 だれもこない。

それでイイ。 ドウデモイイ。 寝転がって、 適当に上を見ていた。

何時の間にか寝ていたのかもしれない。 頬をつつかれた。

『 ――? 』

目を開けたら。 髪はぐしゃぐしゃで 葉っぱを何枚もつけて。
裾も袖も転んだのか 土ヨゴレ。
鼻先は擦り剥いたのか、赤い子が。 さっきの子。

【 貴女 … ! 】

【 人にぶつかっておいて 謝りもしないなんて 
  どういうことですのッ?! 】

【 そんなのじゃ 貴女の品性が疑われますわ っ 直しなさい。 】

怒ってる。 この人は怒ってる。
何に対して―― それは 私宛なのは確か。

では何の為に怒ってるんだろう。
家庭教師は、家庭教師の為。 使用人達も、使用人達の為。
誰も彼も、自分の為に 私を怒るのに。

この人は 私の為に 真剣に怒ってる。

『 ありが、  とう。 』

ごめんなさいより。 ありがとうが出てきた。

――― この人が 私の従姉だと知る迄 あと数分。

そんな 追憶。        おしまい。
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【2005/10/13 21:34 】 | キャラ紹介【ユン】 | コメント(2) | トラックバック(0) |
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コメント
おおー。
碧さんとのお約束だったので。 稚文をちまちまと。
私の子ユンと 碧さんの子ペコーちゃんとの出会いです。
何と同い年なんですよ、あの子達。

びっくりですよね! ある意味。(笑。)

ユンは昔は本当にダメ子供だったですよ。
今はそんな事もありませんがー…!
【2005/10/13 21:36】| URL | ユメ #mQop/nM.[ 編集] |
ありがとうございます!
わぁい、幼少時のSSが・・・!
こんな出会いだったのですねっ。

(保存、保存・・・。)

こんな可愛いコ、どうして忘れていたんだろう・・・(何

ペコー:「わたくしは忘れてなどおりませんわよ」
【2005/10/14 00:41】| URL | 碧 #kMqtjDCw[ 編集] |
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