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【学園都市】【駄文】

                  それは追憶だ。 
 
丘にある共同墓地は、小規模なものだった。
都市内外で死んだ人々の為の墓地とは言え、都市は始まって十年程。
昔から根付いた住民が居るわけでもないから、老衰で逝去する人も少ないし。
殺人事件なんて滅多に起こらない。 都市に【通い】で生活している人は死んだら、地元で葬儀をする。

だから、最初に言ったとおり、小規模な墓地で良かったし、これからも恐らくそのはずだった。
そう ―― 飽くまで過去形だ。 

今、丘は白い林を持っている。
丘の裾から天辺まで、白と白と白と白だ。 白しかない。
この情景を絵にしても、美術の単位は取れそうもない。

追憶というのは、厭だ。 取りとめもなく、脱線ばかりで、話の順序も滅茶苦茶だ。
どうせ、誰に伝わるというわけでもないのに。
それでも、追憶に耽ってしまう。  そら、また白がきた。

白は、墓標と 墓石だ。 死と、永久の眠りと 安寧の象徴だ。
俺は祖父と一緒に、祖母を葬った事がある。
祖母は大往生と言われるものだ、親しい人たちに囲まれ、人生に感謝して逝った。

俺も祖父も 哀しかったけど、 心の傷ではない。
祖母の旅立ちを、笑顔で見送った。
つまり、―― 本来葬儀とあるべきなのだ。


だが、  此処は 違う。

何処も かしこも。 悲嘆と 嗚咽に満ちている。

何処も かしこも。 墓穴を掘り。

何処も かしこも。 材木を白くぬり、組み合わせ。

何処も かしこも。 大きな石を、削り据える。

暗黒神官率いるテロリスト集団が 引き起こした、連続爆破事件は。
多くの人々を物言わぬ物体に変えて。
材木屋と石工屋と墓堀人を過労に追い込んだ。

    その職業従事者は つい最近まで 学園都市内で 下から数えた方が早いくらいだった。


そして。 俺の近くにも 真新しいが粗末な墓がある。
墓だけじゃなくて、ずっと座り込んで動かない … 幼馴染も居る。
何時だって笑っていた子は、何時だって笑わない子になってしまった。

粗末な墓標に額をこすりつけている。
家族を一度に失った彼女には、何も残らなかった。
とある店を営んでいた彼女の両親。
周囲の大人達は優しかったが、商売先は、そうもいかない。
彼女が座り込んでいる間に、 ―― 『負債』というものが。
彼女の家も、何もかも、かっさらっていった。 
彼女の父親が大事にしていた、綺麗な万年筆も。
彼女の母親が何時か娘に授けようとしていた、指輪も。 何もかも。 

――― それは。  俺の性。


「 ねえ、 メイ。 あのさ。 」

声を掛ける。

『 …。 』

返事はない。 彼女は喋らない。 

「 雨、降ってきたし。 風邪、引くと、俺は思っちゃうんだけど?
   ねえ、 こんな処で風邪引くと、 よくないよ。  ―― 心配されちゃうよ。 」

誰【が】心配するのか、口にしなかった。
でも、あの優しいおじさんと、おばさんは、絶対心配するはずだ。
あの人たちのお墓の傍で、風邪なんて。  ああ、でも。 もっと 良い言葉はなかったのか、俺。
言うのは憚られた。 でも、伝わってしまう事もある。

『 ―― され、ない。  』  『 ここに、  いないもん。 』


「 ~~、、   」  「  ――  ぁ、でも、さ。 」
「 折角、作ったし、さ。 」 

作ったのは、俺と近所の人達だ。
墓標は廃材を使った。 ―― 墓標に掛ける御金だって 残ってなかった。

『  いないじゃない。  』   『 いないじゃない、、  っ  』

      『 この 下に  いない … っ  』

 『   棺の中は  からっぽじゃない  …!  』


「 ―――  御免。  」 

 
 そうだ。 彼女の両親は遺体も残らなかった。 


「 御免よ。 メイ。 」 おじさん。 おばさん。


『 なんで、っ  フェングが、 謝るの  … っ  』


「 御免。  」 


 あの日。 事件のあった日。
 彼女は学校に行ってて、 俺は彼女の両親と買い物に出てた。
 帰り道 ―― 突然、都市の至る所で、爆発と悲鳴が上がった。

 急いで、 彼女の家に 戻ると …… 妙な剣を担いだ男が、店を吹き飛ばした処だった。

 頭が カッ と した。
 アレは彼女と彼女の両親が大事にしてる店で、今日は彼女の誕生日で、
 これからケーキを焼く所だったし、飾りつけもする処だった。

 気づけば。 精霊に呼びかけて。 その男の顔面に 火弾をねじ込んでた。

          ――― 傷一つついてなかったけど。

 お返しに、その男は 俺の何倍も 何倍も強い 火炎で お返ししてきて。

          ――― 俺の盾になって 塵炭になった  のは。


「 御免。 」

                  メイ。


「 御免よ。 」


                  君の両親を奪ったのは。


「 けど、 風邪引くからさ ――。 」


                  俺なんです。


『 ……。 帰る。 』 『 なんで、私より泣いてんの? 手間かかるわねー、、、 』


彼女は強く手を引いてきた。 


「 御免。 」 「 ―― 頑張る、から。 メイを助けるから。 」


いつか 手を握り返すのを 自分に赦せるまで。
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【2008/04/11 20:52 】 | 【学園都市】 | コメント(0) | トラックバック(0) |
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